沖神小説 第十二話です!
それではどうぞ!
日差しも強い昼下がり
今までのことを全部忘れようとやけ食いって訳じゃないが、かいた汗も尋常じゃなかったので、
甘味処で休憩することにした。
「あっちィ・・・。」
隊服のスカーフを緩め、席に着くと・・・。
「いらぁっしゃいませぇぇええ~。」
店内から、全く接客には向いてないやる気のない声がした。
「あ!!旦那ァ!!」
それは、モバイト中の坂田銀時だった。
カラン カラン・・・氷の涼しげな音が鳴る。
「屯所から追い出されたぁ?!」
モバイトを終えた銀時が、いちごパフェを頼みながら沖田の横に腰掛ける。
「そんなんでさァ。昨日きたチャイナも、我が物顔で屯所ほっつき回ってるし、山崎もチャイナを我が物顔で・・・」
・・・・!!!!!ああああああああっ 何言ってんだオレ・・・。
「え?最後の方よく聞こえなかった。ジミーがなに?!」
「いやいや何でもないでさァ・・・。」
近くにあった自分の水をがぶ飲みする。
(あぶねェ。バレてないバレてない・・・。)
「神楽は元気そうだな~。食費が浮くわ~ずっとそっち置いてていい?!楽しくやってるみたいだし。」
沖田はしばらく黙っていた。そして慎重に言葉を選び、
「・・・チャイナはいつも山崎と楽しそうに喋ってますぜィ。・・・すごく楽しそうに。たぶんチャイナもあいつのそばにいたいって・・・思ってると思いやす。」
とゆっくり答えた。
笑っている神楽の顔を思い出しながら。
吹っ切れたと思っていた神楽への思いが、また繋がっていくのを感じながら。
静かに考えていると銀時がいきなりニヤニヤしながら言った。
「いや、若いってのはいいねえ~。青春だね青春。オマエなんだかんだ言いながら、少しはアイツのこと気になってるだろ。」
・・・・・図星。
慌てふためく沖田をよそに銀時は言葉を続けた。
「アイツも、家にいるときは、オマエのことばっか喋ってんぞ。多分、ジミーと話すときよりも、もっともっと楽しそ
うに、オマエのこと話してる。口には出さないが、アイツもオマエのこと・・・。」
沖田は全身の体温が上昇していくのが分かった。
そして、銀時にの言葉を最後まで聞く前に、いちごパフェの代金を置いて、猛スピードで甘味処から出て行った。
「旦那ァ。感謝しますぜィ。」
—もう自分の気持ちを抑えたりしない。
沖田は走りながらそう思った。
外はもうずいぶん暗くなっていた。
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